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タイトル 相続について(2)

 

前述のように相続権のある方については法定されていますが、その割合は必ず守らないといけない、というわけではありません。
 相談で、「法定相続分どおりに相続しないといけないのですか?」との質問を受けます。
法定相続分はあくまで遺言や遺産分割協議で相続分を決めなかったときに法律が決めている相続権の割合です。逆を言えば、遺言や遺産分割協議により相続分の割合を自由に決めることができます。
 遺産分割協議を成立させるには全員の合意が必要となり、相続人のなかで一人でも合意しなければ成立しません。この意味において、法定相続人が誰であるのかということを確定するのは重要なことです。たとえば、亡くなった方に婚姻外の隠し子がいたり、または、離婚した元の配偶者との間に子供がいたりなど、予期しない、会ったこともない人が相続人であることが、戸籍を取得することにより明らかになる場合があります。親戚付き合いは、おじやおば程度、といった人にとっては、ほとんど他人といってもいい人が相続人となり、紛争の火種となるケースもあります。
 例えこのような相続人であっても、これらを除外して合意した遺産相続分割協議は無効です。
 ちなみに、相続登記手続きにおいて、不動産の登記名義を上記法定相続分と異なる割合にしようとする場合には、「遺産分割協議書」に実印を押印してもらい、印鑑証明書を添付する必要があります。前述のように、遺産分割協議成立のためには相続人全員の合意、登記手続上で言えば実印の押印が必要となります。一人でも欠けてはいけません。