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タイトル 司法書士とは ?



ところで、司法書士の知名度はどの程度のものなのでしょう。
普通の人は、不動産を買ったり相続が発生しない限り、司法書士との接点はほとんどないと思います。特に、同年代(30歳前後)ではそんな人はあまりいないですから、同年代の人に対する認知度は殆どゼロです。稀に、同年代で資格試験を受けようと検討した人が知っているくらいです。あと銀行員の方ですね。去年、中学生のときの同窓会があり、小学校の教諭になった人に「職業は司法書士です。」と言ったら、何それ?と言われてしまいました。教養があると思われる学校の先生に対しても、同世代ではその程度の知名度なのです。少し悲しいことに。逆に、税理士さんの方がはるかに知名度がありますね。税金は日々接するものですから分かりやすいのでしょう。税理士さんに転職しようかしら。税理士試験も難関ですから、仕事をしながらパスするのはさらに難しいでしょうね。

それと、行政書士さんと何が違うの、ということもよく言われますね。
そういう人には、司法書士の仕事とは、というところから話をしないといけません。これが結構厄介です。前述の通り、同世代で登記手続きにかかわるような人は殆どいないのですから。


 

司法書士の業務は、司法書士法により登記手続・供託手続の代理及び裁判所提出書類の作成です。また、認定を受ければ簡易裁判所での代理も可能です(弁護士さんのように代理人として法廷に立てます!かっこいいでしょ?)。こう見ると、司法書士は、不動産に関する登記にかかわらず、業務範囲は結構広いのです。ただし、不動産登記といっても、表示に関する登記、簡単に言えば物理的状況を登記するのは土地家屋調査士さんの業務範囲で、司法書士は所有権や抵当権等の権利の登記が業務範囲となります。
不動産登記について少し掘り下げて簡単にお話をしますと、権利に関する登記は第三者に対して対抗要件を備えるためにするものです(例外もありますがここではひとまずおいておきます)。たとえば、土地の売買があった場合。新しく買主となったことは売主以外の第三者にはわかりません。でも、登記をしていれば、買主は自分が新しい所有者になったことを広く知らしめることが出来ますし、また、第三者から「自分が所有者だ」と主張されても、その第三者に所有権を対抗することが出来ます(有体に言えば、裁判をして勝つことができます。)。ちなみに、「買主は自分が新しい所有者になったことを広く知らしめること」を公示力といいます。広くみんなに知ってもらうためですので、法務局に行けば土地や建物の登記簿謄本は誰でも見られます。個人情報保護がうるさく言われている昨今ですが、覗き見のつもりでお隣の土地・建物の登記簿謄本を取得することも可能です。これはまさに登記の機能の一つである公示力に関係しているからです。これにより、赤の他人であっても、例えば隣人が○×銀行から融資を受けているな、とか、いつ頃取得したのか、とか色々な情報が読み取れます。

話をもとに戻します。ここで注意しなければならないのは、登記は?第三者に対するもの?効力要件ではないということです。

?について言えば、当事者同士、先の例で言えば、売主・買主間では登記がなくとも所有権が主張できます。?の点について言えば、登記がなくとも、売買の効果自体は有効です。登記を備えないと効力が生じないということではありません(一部例外があります。)。



 

権利の登記(土地家屋調査士さんが関る表示登記は異なります。)は登記名義人になる人にとって有利になることばかりです。ですから、登記をする、しない、というのは本人の自由です。義務ではありません。土地を買っても、買主が登記をしたくなければ登記をせずに、そのまま放置していても構いません。罰則などもありません。もし登記をしない人がいたら、その不利益をそのひとが受けるだけですから。

当初と話が大きく変わりまして、着地点が見つかりませんが、多少司法書士について知っていただけたら幸いです。