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タイトル 相続について(4)



遺産分割協議を相続人間でととのえるのは困難な場合もあります。たとえ兄弟であっても、結婚をし、途中から違う人生を歩んでいるわけですから、考え方も違います。「あいつは生前に親から多額の援助を受けているのにこの上遺産をもらう気か」、「あいつは親の面倒も見なかったのに自分よりも多くの財産を主張している」・・・等々、様々な理由で全員が納得するような案を考え、遺産分割協議を成立させるのは難しい場合があります。また、相続人の合意によるために、亡くなった方の遺志は全く反映されません。
 そこで、亡くなった方の遺志を死後に伝えるために遺言があります。
 また、相続人間で要らぬ紛争を未然に防ぐ機能もあります。遺言があれば、遺産分割協議は不要であり、相続人間で争いが起こる可能性が低くなります。特に、子供の居ないご夫婦で夫が亡くなったときに相続登記の依頼を受けることがあります。
 残された奥さんは、夫の兄弟姉妹や甥や姪を相手に交渉をし、遺産分割協議を成立させなければなりません。そして、往々にして任意の方法では遺産分割協議が成立することは困難となります。こんなとき、遺言を作成してくれていたら、とつくづく思います。兄弟姉妹の相続の場合、遺留分はありませんので、後ほどご説明する遺留分を請求される心配はなく、亡くなった方の遺志が実現します。
 ただし、遺言は民法で決められた方式に則っていなければ、法律上の効果を生じません。また遺言のできる事項については、民法で決められた方式に則ってなければ、法律上の効果を生じません。また、遺言のできる事項については、民法で限られています。

もし今すぐに遺言を書きたい、という方には最も簡単な方法として自筆証書遺言があります。
自筆証書遺言の要件は、
 ?遺言の内容の全文を自筆で書くこと
 ?遺言書を書いた日付を自筆で書くこと
 ?氏名を自筆で書くこと
 ?押印すること
の4つです。




 

 しかし、自分で作成した自筆証書遺言は、遺言が正しい方式のものであるか法律家の判断に基づくものではありません。また、遺言書の存在自体を秘密にしておきたい場合などに、生前隠しておいて、相続が開始していざ必要になったときには相続人に発見されない、といった危険性がありますし、万一発見されたとしても、遺言の内容を良く思わない相続人が遺言書を破棄してしまう可能性も捨て切れません(ただし、このような遺言書を破棄・隠匿した相続人の行為は相続欠格事由となり、相続人から外されてしまいます)
 そこで、公証役場で作成する公正証書遺言及び、秘密証書遺言の2つの遺言の方式があります。
公正証書は、証人2人以上の前で、遺言の内容を読み聞かせ、公証人が遺言書を作成します。また、秘密証書遺言は、遺言書の存在自体は相続人に知っておいてもらいたいが、その遺言の中身を知られたくない場合に利用される方式です。
 いずれの方式についても、法律に精通した公証人が関わるため、自筆証書遺言のようにいざ相続が開始したときに法律の要件を適えていなかったとかいう危険はありません。
 また、原本が公証役場に保存されるために、遺言書が破棄されてしまうような危険もありません。
 これら、公証役場で作成する遺言については、その財産の額に応じて公証人に報酬を支払わないといけません。公証役場での遺言の作成にあたっては、公証役場への提出書類等、事前準備について司法書士がお手伝いすることが出来ます。