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タイトル 不動産登記の申請について (2)



別送方式について少し触れますと、オンライン上で登記申請情報及び登記原因証明情報をデータとして送り、その後、2日以内に書類を法務局に持参または郵送する、というものです。一部オンライン申請、一部紙による申請という意味で半ライン申請とも言われます。以下、別送方式⇒「半ライン申請」と言うこととします。

さて、半ライン申請(=別送方式)が出来るようになり、何が変わるのか。

半ライン申請をしようとする場合は、どのような準備が必要でしょうか。司法書士に不動産登記申請を委任することを前提にお話をします(ただし、本人が登記申請をするためには、オンライン申請のための環境を整える必要があります。)。
不動産を売買する一般の方にとっては、何も変わりはありません。以前と同じように紙で書類を作成します。そして当然ながら不動産の売買時の売買契約書も従来どおり、書類を作成して署名・押印します。特別に電子証明を取得したり、文書を全てパソコンで作成する必要もありません。

しかし、今回の特例により売買代金の決済の方法に変更が生じるかもしれません。

通常、司法書士が決済の場に立会って書類に押印してもらい、権利書等を確認し、司法書士が登記が出来ることを確認したらお金を授受し、その後に登記申請の書類を作成し、登記申請をしていました。お金を授受してから登記申請までの間に1、2時間の登記の空白がどうしても生じていました。つまり、買主の立場から言えば、お金は払ったのに登記名義は変わっていない(正確に言うと、登記の順位が保全されない)状況が生じていました。これはこれで、全く問題の無い方法で、長い間の商習慣として定着していた方法です。

とにかく、商習慣で、たとえ登記が完了していなくても(登記の順位が保全されていなくても)、司法書士が書類をチェックし、登記が出来るという判断を下した時点で売買代金の金銭の授受をしていました。
しかし、今後この別送方式によりオンライン申請が広く普及すれば、司法書士が携帯型パソコンなどを決済の場に持参し、パソコンを使って半ライン申請をし、まさしく同時に、お金の授受をするということになるかもしれません。逆に、そうしないと買主が不安でお金の支払いをしない、といったことが主流になるかもしれません。